焼物と暮らす

さて、前回は漆器を紹介し、茶碗の代わりに茶椀を使うという内容だったのですが日常づかいの器という点では陶磁器のものを使うことが多いですよね。私達の食卓に並ぶのはほとんどが洋食器かと思いますが、我が家は昔ながらの陶磁器が多いです。単純に好みのものが多いというのもありますが、なるべくならば地元のものをという目線で生活の道具を選んでみると自ずと東北の陶磁器が多くなってしまいます。

かつて宮城県には切込焼という染付けが主で白磁、瑠璃、三彩など、多様で美しい磁器が作られていたのですが、今では当時のような作品はあまり作られておらず、蚤の市などでは高額な値段で取引されていることもあります。いつかは美しい三彩のお皿を食卓にならべたい…。

日用の食器として作られてきた陶磁器ですが、大量生産のものに比べると何倍もの価格がしてしまうのでできるだけ大切に扱うようにしています。しかし、慌ただしい日常の中ではついつい手荒く扱って割れてしまうこともありますよね。我が家ではキレイに割れたものは金継ぎ(金箔ふってませんが)をして修復しています。なかなか上手にはなりませんが、少しでも長い時間をお気に入りの器とともに過ごしていくためにはひと手間をかけて、また違った器として楽しむのも一興です。

宮城県石巻市 三輪田窯のプレート
宮城県仙台市 堤焼 海鼠釉の小皿(筆者が手づくり体験で作ったもの)
大河内英夫(おおこうちひでお) さんの画像

PROFILE

大河内英夫(おおこうちひでお)

宮城県仙台市生まれ。旅行情報誌、タウン誌などの編集者として地元企業に就職した後、フリーランスのカメラマン、ライター、編集者として様々な媒体に寄稿。仙台市の伝統工芸品PRサイト「手とてとテ」の制作チームに参加したのをきっかけに伝統工芸品の世界へ。
2015年から株式会社金入のディレクターとして工芸品のバイイングや行政、企業と工芸品との橋渡し役として様々なプロジェクトのプロデュースやディレクションを行う。
頑張って工芸品を生活に取り込むのではなく、「昔のヒトが現代に生きていたらこうだよね」をモットーに、Techと工芸品が当たり前に共存する未来を一人で実践する。