愛しさと手間暇と心の豊かさと

6回目、最後を迎えます。

工芸品や民芸品などを生活に持ち込もうとすると、どうしても手間がかかるときがあります。鉄瓶であれば使い終わったら空焚きして乾かす、漆器であれば柔らかい素材のもので傷つかないように洗う、こけしであれば日焼けしないように定期的に入れ替える、などそれぞれとの付き合い方があります。

ただ、これらは僕の中では手間とは思わず、この時間こそが豊かさなのかなと考えるようになりました。手がかかる子ほど可愛いともいえばいいのか、好きなものに時間を費やすことは何よりの幸せでしょう。

最近ファミリーキャンプを始めたのですが、これがまた手間がかかる… 。テントの設営、テーブルや椅子の準備、キャンプ場についてから落ち着けるまで2時間くらいはかかります。それでも楽しいと思えるのは大自然を全身で感じて非日常を味わえるからです。

好きなことや楽しいことに時間を割けることはこのうえない幸せですし、それを感じられる時間の過ごし方を教えてくれた工芸品や民芸品は感謝しかありません。

それではまたいつの日か。素晴らしい工芸品ライフをお過ごしください。

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PROFILE

大河内英夫(おおこうちひでお)

宮城県仙台市生まれ。旅行情報誌、タウン誌などの編集者として地元企業に就職した後、フリーランスのカメラマン、ライター、編集者として様々な媒体に寄稿。仙台市の伝統工芸品PRサイト「手とてとテ」の制作チームに参加したのをきっかけに伝統工芸品の世界へ。
2015年から株式会社金入のディレクターとして工芸品のバイイングや行政、企業と工芸品との橋渡し役として様々なプロジェクトのプロデュースやディレクションを行う。
頑張って工芸品を生活に取り込むのではなく、「昔のヒトが現代に生きていたらこうだよね」をモットーに、Techと工芸品が当たり前に共存する未来を一人で実践する。