アートイズ_土絵の具

縄文時代の土で描く

八戸市に移住して是川遺跡が身近なものとなりました。是川遺跡は2021年に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つです。小学生だったころ考古学者になりたかった僕は、もちろん「是川縄文館」に通うことになります。

そこで出会ったのが、縄文時代の土。発掘作業で遺構や遺物から取り除かれた土を譲ってもらうことができました。その土はまぎれもなく、はるか昔にこの土地に生きた縄文人が踏みしめたものです。

アートイズでは、縄文時代の土を子どもたちといっしょに絵の具にしました。もともと絵の具は、自然物を顔料にして接着剤になるものを混ぜ合わせてできています。土をふるいで濾したものにボンドと水を混ぜたら絵の具が完成です。自分の手の中にサラサラとある土が絵の具になっていくことに、子どもたちはとても驚いていました。

縄文時代は約1万年以上続き、その間に戦争はなかったという説が知られています。人が人を支配することなく自然との共生を大切に生きていたからこそ、この時代が長く続いていたのではないかと、僕は考えます。

そんなことを子どもたちと話しながらつくった縄文時代の土絵の具。自然の力を借りて描く体験は、「描く=技術」ではないことを知るきっかけになります。思い思いに描かれた子どもたちの作品は、エネルギーに満ちあふれていました。

アートイズ_縄文の土
佐貫巧(さぬきたくみ) さんの画像

PROFILE

佐貫巧(さぬきたくみ)

静岡県静岡市生まれ、2013年に青森県八戸市へ移住。2018年からは、青森県おいらせ町に住まいを移す。アーティスト、八戸学院大学短期大学部幼児保育学科 准教授、現代芸術教室「アートイズ」主催。
2014年に開講した「アートイズ」では、八戸市美術館や十和田市現代美術館の教育普及プログラムに関わる。現代アート展「インシデンツ」を企画運営し、アーティストとして国内を中心に多数展覧会に参加。
趣味は「あお(青・碧・蒼)いもの」集め。好きな食べものは、シーチキン・ザーサイ・ティラミス。

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