海猫ふれんず
〈海猫ふれんず〉は、八戸圏域へのUJIターン移住者増加を目的として活動している情報発信ユニットです。この企画を通して、地元の素敵な企業を知っていきたいです!

こんにちは、〈海猫ふれんず〉の小田桐です!

今回お邪魔しているのは、八戸市に本社を置く〈アンデス電気〉さん。なんとこちらでは、空港のVIPサービス、高級ホテル、新幹線にも採用された空気清浄機をつくっているんだそうです。そしてその空気清浄機になんと……光を当てるだけで空気をきれいにしてくれる“光触媒”と呼ばれる魔法の物質を実用化して導入したのだとか!

さらに “CBバリコン(ラジオの選局装置部品)の生産規模世界一の記録を樹立” “昭和後期~平成初期、世界の約7〜8割のテレビへ搭載されるチューナー(映像と音声をテレビに映し出すパーツ)を生産していた” “日本で最初に結核菌を死滅分解させた装置をつくった” などなど、レジェンド級の逸話ばかり飛び出します。

そんなすごい会社が八戸にあったの!? そして気になる空気清浄機って、どんだけ空気をきれいにしてくれるんだ!?

小学生の社会科見学を思い出しながら、いざ!〈アンデス電気〉本社の中へ!

世界一のシェア!? 創立から51年続く〈アンデス電気〉の社歴。

本社では、〈アンデス電気〉社員のみなさんが私たちを出迎えてくれました!

アンデス電気の社員の皆さん

最初に案内してくださったのは、沼尾常務(写真右端)。創立から51年続く〈アンデス電気〉の沿革を教えてくれました。

アンデス電機 沼尾常務

〈アンデス電気〉の沿革

1971年(昭和46年)前社長である安田昭夫氏が、22歳の時に創立。当初は三沢市を拠点に「ポリバリコン」と呼ばれるラジオの選局装置の製造を行う。

昭夫氏の努力、営業力から大手企業とのつながりや信頼を得て、1977年(昭和52年)当時は世界一の生産量を誇り、月産280万個を世界中へ輸出した。

1982年(昭和57年)ころ、アナログTVのチューナーの生産を始めると同時に現在の本社がある桔梗野工業団地に進出。こちらも月産300万個と、世界一のシェアを誇る。当時、世界の約7〜8割のテレビへ搭載されるチューナーの生産を〈アンデス電気〉が担当。

ほかにも、松田聖子全曲配信ならびに彼女のイメージキャラクター抜擢で話題となった「U-kara」を〈大阪有線放送社〉と協力して製造。日本の通信カラオケの黎明期から全盛期までを支えた。

アンデス電機

……どんだけ世界シェア一位を獲得してきたんだ。規模が違いすぎる!

このように、さまざまなものを受託加工していた同社では、「社員にもっと技術を学んでもらいたい」との思いから、大手メーカーへ出向させるなど、積極的に技術の習得を行ってきました。

技術力の高まりとともに、受託ではなく自社での収入を得るべく、1992年(平成4年)7月に自社の空気清浄機の製造・販売をスタート。

今となっては当たり前になった空気清浄機ですが、当時の日本では空気清浄機を生産しているメーカーが少なく、未開拓市場でした。青森県民からしてみると、「青森は空気がきれいなのに、なぜ空気清浄機なのか」と疑問を持たれるほどの感覚だったようです。

試作段階のファン
試作段階のファン。通常形状ファンを採用せず、自ら研究・開発するこだわり。モーターに負担がかかりにくくなるよう日夜進化させている。

また、玄関ドア上部に取り付ける『監視カメラ ゲートアイ』や、ダイヤモンドコーティングの技術を利用した『にんにくの皮剥き機』などの製造を開始。受託加工とメーカーの二本柱を目指し始めました。

前編では、現在同社がつくっている空気清浄機について紹介していきたいと思います!

光を当てるだけで空気をきれいに!魔法の物質「光触媒」。

〈アンデス電気〉の空気清浄機は、新幹線や空港、ホテル、病院、福祉施設、保育園、飲食店、ペットショップ、事務所、喫煙フロアなど日本全国の “人が集う” ところで採用されています。他社製品と比べて何が違うのでしょうか?

光触媒

それは、この光触媒と呼ばれる物質を空気清浄機に使用していることです。光触媒……聞き慣れないワードが出てきました。いったい、どんな物質なんでしょうか?

「1967年(昭和42年)に東京大学の本多健一名誉教授と藤嶋昭特別栄誉教授によって発見された触媒で、太陽や蛍光灯の光に当たると、強力な酸化力が生まれ、接触した有害物質を除去できる環境浄化材料(機能性材料)です」

光を当てるだけで空気をきれいにしてくれるということ!? しかも、この光触媒を利用するきっかけになったのは、電子工学の科学者であり、シャープの元副社長である佐々木正氏の助言があったそう。

「佐々木氏は当社の薄膜技術を絶賛し、前社長の安田昭夫は『この技術を応用すれば、いろんなものをつくれる』と言われ、独自のコア技術を搭載した空気清浄機の開発を始めました。空気清浄機自体は、以前から製造していましたが、2000年(平成12年)ころ、光触媒技術を応用した空気清浄機の開発、製造への挑戦を開始。それと同時に、工藤工学博士が当社に入社しました」

沼尾常務、工藤工学博士、木下課長
左から、沼尾常務、工藤工学博士、木下課長。

光触媒は粉末の材料を利用しなければならず、実用化が非常に難しかったのだそう。同社では、公立の研究機関と八戸工業高等専門学校と共同研究を重ねました。

「試行錯誤していると、たまたま光触媒の結晶から角柱状の“ツノ”が生えてきたんです。従来のシートでは、光触媒を接着剤を混ぜ込んでシートにくっつけていたため、そのほとんどが埋もれてしまい、表面に出ている部分のみ威力を発揮していました。ですが、接着剤を使わずに“ツノ”が生えていることにより、飛び出た部分が立体的に物質と接触できるのです。当初、これは失敗だと思っていたのですが、当社開発部の工藤工学博士が、発見者である藤嶋教授のもとで論文を発表したところ、『これはすごいことだ!』とのコメントをいただきました」

初代角柱状光触媒酸化チタン(電子顕微鏡)
初代角柱状光触媒酸化チタン(電子顕微鏡)

そこから何度も失敗と成功を重ねて改良していき、現在は第5世代の光触媒を実用化させています。新たな環境浄化材料(機能性材料)の研究をリードしてきたのが〈アンデス電気〉なのです!

光触媒を使用した〈アンデス電気〉の空気清浄機を紹介!

ここからは〈アンデス電気〉が製造している空気清浄機を紹介していきます!

バイオミクロンスクエア

こちらは最新モデルの『バイオミクロンスクエア』。

今までは主に、羽田空港のVIPサービス、ホテル、政治本部、新幹線など、業務用の空気清浄機をつくっていたため、一般家庭用に使えるものとして開発したのがこちらのモデルです。

机の下にも置けるほどコンパクトなのですが、『バイオミクロンスクエア』には、世界初の機能が備わっているそう!

バイオミクロンスクエア

それは、きれいになった空気を、真上からと横4面の、合計5方向から選択的に出せること。一般的な空気清浄機では、きれいになった空気を真上からのみ出していますが、いろんな方面から空気を排出できることで、身体に感じさせない程度に風の流れをつくり、効率的に部屋の空気をきれいにしていきます。静音機能にもこだわり、振動と騒音を極限まで減らしています。

「次の商品はこちらです」と案内する沼尾常務。そこにあったのは……。

Fシャワー

パチンコ? 〈アンデス電気〉ではパチンコ台もつくっているのかと思いきや……

Fシャワー

注目すべきはパチンコ台ではなく、台と台の間。なんとこのわずか約5センチの隙間に入り込んでいるのが、空気清浄機なのです!その名も『Fシャワー』!

およそ20年前、空気が汚れていそうな場所をメンバーと相談・調査したところ、パチンコ店内が比較的汚れていることが判明。パチンコ店に置ける商品をイメージして開発をスタートしました。

Fシャワー

「本商品は、下から汚れた空気を吸い込んで、上からきれいになった空気とピュアなマイナスイオンを吐き出します。開発当時、パチンコ店内では喫煙できたため、パチンコ台に向き合って座り、右手でハンドルを動かしながら、左手でタバコを持つ方が多かったんです。隣の席へ煙がいかないよう、上から吹き出すきれいな空気は、エアカーテン状になっています」

実は『Fシャワー』は病院関係のベッドで使われることもあるそう。

業務用空気清浄機
業務用の空気清浄機は上野駅内の喫煙室に採用されるほど信頼度が高い。

「一番怖いのは、空気中に浮遊している強い菌。特に芽胞菌や結核菌は、本当に恐ろしい菌です。本当に怖いものを未然に防がなければならないという “おもい” のもと、開発にあたりました」と、沼尾常務。

ちなみに、日本で最初に結核菌を死滅分解させたのも、〈アンデス電気〉の製品! 技術力がすごすぎる。都内の結核病院にて、空気清浄機が採用されているそうです。

前社長の時代より、「本当に世の中のためになるものをつくろう」というテーマは変わることなく、現在にも受け継がれているのです。

バイオミクロンサークルPRO

最後に紹介するのは、金入の営業部も一押しの『バイオミクロンサークルPRO』!

金入ではデモ機を社内に設置してその効果を実感。

「適用床面積30畳でオフィス空間にぴったり。水を使わないから衛生的でメンテナンスも簡単。そのうえ驚異の清浄機能をもつバイオミクロンサークルPROは、信頼度がバツグンです。お客様にぜひご提案したい!」という熱烈なお話を金入社員さんから聞きました。いったいどういう仕組みになってるの?

「本製品は、360度方向で空気を吸い込んでいます。時計回りに空気を吸い込み、きれいになった空気も同じような流れのまま、放出されます。空気をかき混ぜながら吸い込みますから、塵や匂いのもとを強靭に吸い込むことが可能になるんです」と、沼尾常務。

バイオミクロンサークルPRO

写真だとわかりにくいかもしれませんが、吹き出し部分に置いてあるカラフルな紙がくるくると回っています。吐出口から出る空気の流れにしたがって、勝手に回っているのだそう。それくらい整った流れを保って空気が吐き出されているんですね。

バイオミクロンサークルPRO

実は吸い込み穴の成形も、〈アンデス電気〉の技術力があってこそ。吸い込むときに回るような力が加わるよう計算し、匠の技でこの “カタチ” をつくっているんだそうです。

ちなみに、キーパーツ部分はほぼ “Made in Japan” で、モーター部分は青森県内でつくられている耐久性の高いモーターなのだとか。光触媒は〈アンデス電気〉で原材料からつくっていますから、青森県がぎっしり詰まった製品になっています。

是川主幹技師

『バイオミクロンサークルPRO』という名前の由来を教えてくれたのは、開発部の是川主幹技師。

「空気清浄機は、吸い込んだ空気がフィルターを通って、ファンによって外に流される仕組みになっています。性能を突き詰めていったら、製品のかたちが円柱状になったのですが、ファンのかたちは円であり、吸い込む空気も360度、つまり円のかたちになって吸い込まれ、排出されていくため、“サークル” という名前をつけました」

沼尾常務、是川主幹技師

「もうひとつは、“みんなで手を繋いで、円になってつくった” という思いがあるんですよ。当社の技術を駆使し、一丸となってつくった製品だから “サークル” にしました」と、補足する沼尾常務。

是川主幹技師

「そういうことも言えないとだめなんですね。恥ずかしい(笑)」と照れている是川主幹技師。いえいえ、開発部の視点でのお話ありがとうございました!

後編では、『バイオミクロンサークルPRO』を使った性能実験のレポートを行っています。その能力やいかに⁉︎

アンデス電気株式会社 さんの画像

PLACE

アンデス電気株式会社

青森県八戸市桔梗野工業団地一丁目3番1号
TEL 0178-20-2811
FAX 0178-20-2316

アンデス電気について 詳しくはこちらから

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海猫ふれんず

八戸市出身の女性3人による情報発信ユニット。八戸圏域へのUJIターンを目的とし、オンラインイベントの開催や八戸市の市民活動奨励金制度を活用したワークショップなどを開催。