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学校を超えて、家庭へ、まちへ。
今回、子どもたちだけでなく約6組の親子の姿がありました。小学校での授業とは違い、今回は保護者と言葉を交わしながら話を聞く時間になったといいます。「お家に帰ってから、「つなげるーぱ!」のことを家庭でも思い出してもらえるきっかけになったのでは」と高橋さん。「ものをどう選び、どう手放すか」というテーマを家族で一緒に考えるきっかけにもなりそうです。今日子どもたちが聞いたことは、家庭というもう少し広い場所にも届いてくれるのかもしれません。

もうひとつ、今回ならではの光景も。学校での出張授業であれば、その学校に通う子どもたちだけの話になりますが、図書館には、いろいろな学校に通う子どもたちがそれぞれの意思で集まってきます。「友達に教えたい」と言ってくれた子がいたように、それぞれが今日聞いた話を、また別の学校へ、別の家庭へと持ち帰っていく。ひとつの教室の中だけでは生まれにくい広がりが、この日、確かにありました。
地域に密着し、コミュニティの拠点でもある図書館で開催することには、大きな意味があります。参加者同士、そして地域に暮らす人たち同士が、これまでの垣根を超えて出会い、交流する場になるからです。単に情報を届けるだけでなく、人が集まり、対話を通じて地域の文化や、資源循環・地球環境保護という課題を分かち合っていく——図書館という場所は、そんな拠点としての機能を果たしていたように思います。

図書館・地域の書店・文具店、そして〈コクヨ〉が連携して取り組みを実施することは、地域のネットワークそのものを強くしていくことにもつながります。授業を届ける人、会場を開く人、地域へ知らせる人、ノートを販売し回収する人。それぞれの役割を持つ人たちが、子どもたちの学びを支えるために、力を合わせていました。
南愛さん(以下、南):みなさんが、この取り組みを一緒にやっていこうという姿勢を見せてくださったことが、とても嬉しかったです。つながりを実感することができました。
その土地ならではの“らしさ”を大切にしながら、社会を循環型へとシフトし、持続可能な未来を一緒に考える仲間を、少しずつ増やしていく。そうして、今日ここに集まった子どもたちが、これからの“捨てない社会”をリードしていく——そんな未来への期待が、会場いっぱいに広がっていました。
次の入口は、まちのなかに。
「つなげるーぱ!」を通じて、今後さらに地域のなかで広げていきたい循環が、〈コクヨ〉にはあります。大きく分けると「資源(環境)」「経済」「人・コミュニティ」という3つの要素です。活動を通じて地域のさまざまな主体をつなぎながら、自分ごととして地域課題の解決と持続可能なまちづくりを実現していきたい、という思いがこのプロジェクトには込められています。
その一歩として期待されているのが、地域の店舗がノートの回収拠点として広がっていくこと。

たとえば、ノートを買いに行くついでに、使い終えたノートも一緒に持っていって回収してもらえたら——生活のなかで無理なくリサイクルができるようになります。また、回収ボックスをきっかけにお店へ足を運ぶ人が増えれば、そこで新しいノートを手に取ったり、取り組みについて知ったりする機会も生まれます。文具店が、買い物の場であると同時に、循環に参加する入口にもなっていくのです。そして、「この店は環境に配慮している」と知ってもらえることは、お店にとっても、これからも選ばれ続ける理由のひとつになっていきます。
住民にとっての便利さ、お店にとっての新しいお客さまとの出会い、そして地域からの信頼——地域店舗が回収拠点になることには、決して小さくないメリットが見込まれています。
南:回収ボックスを置くだけでは循環は始まりません。回収ボックスが設置されていること自体を、まず知ってもらいたいと南さんは続けます。せっかく置いてあっても、気づいてもらえなければノートは集まりません。
〈金入〉でも、4店舗で回収ボックスの設置を始めました。では、地域の店舗が循環をスタートするために、なにができるのでしょうか。
高橋:ノートを買いに行くタイミングって、大体、使い終わったノートが手元にあるときだと思うんです。だから、ノートを買いに来たお客さまに「回収もやっていますよ」とひとこと伝えてもらえたら、それだけでより循環しやすい体制が生まれるんじゃないかなと思っていて。そういうコミュニケーションをひとつ生んでもらえたら、すごく素敵だなと思います。
買いに来たその瞬間に、ひとこと添えてもらうこと。そんな小さな声かけの積み重ねが、循環の輪を広げていく鍵になるのかもしれません。

出張授業の実施にあわせて、今回〈名取市図書館〉では約2週間回収ボックスが設置されました。集まったノートはなんと310冊‼︎ 地域に設置した回収ボックスで、この短期間でこれほど多くのノートが集まったのは初めてのことだったといいます。
「きっと図書館の方々の広報のおかげだと思う」と、南さんは振り返ります。案内を貼ってもらう、声をかけてもらう——そうした図書館側からの地道な呼びかけが、この日の冊数につながったのかもしれません。そして、その声を聞いて、ちゃんと自分ごととして受け止めてくれた地域の人々がいました。その好奇心や関心の高さも、この310冊という数字を支えていたように思います。

回収ボックスは、置くだけでは役割を果たせません。けれど、地域のなかでその存在がきちんと知られ、周りの大人たちが声をかけ、そして何より子どもたち自身が興味を持って応えてくれれば、驚くほど自然に循環しはじめます。310冊という数字の裏には、地域の”呼びかけ力”と、子どもたちの”好奇心”の両方がありました。
ノートの先にある、好奇心の循環。
「つなげるーぱ!」の現場を見ていると、この取り組みは単なるリサイクル活動ではなく、子どもたちの好奇心に火をともす場でもあるように感じられます。1905年10月、和式帳簿の表紙を製造する〈黒田表紙店〉として創業した〈コクヨ〉は、2025年に120周年という節目を迎え、初のコーポレートメッセージとして「好奇心を人生に」を掲げました。

代表執行役社長の黒田英邦さんは、メディア向けリブランディング発表会の冒頭で「コクヨは今日から生まれ変わります」と切り出し、これからの〈コクヨ〉は「好奇心屋になる」と宣言しました。ノートをつくる会社から、学ぶことや働くことの入り口にある好奇心を支える会社へ。「つなげるーぱ!」は、その好奇心が向かう先のひとつなのかもしれません。
新しいノートをつくって売っている会社が、使い終えたノートを回収し、リサイクルにも取り組んでいる——そのこと自体が、まず嬉しいことだと、高橋さんは話します。紙のノートを代表するメーカーだからこそ、使い終えたものを新しいノートへと変えていく取り組みに、前向きに多くの人を巻き込んでいく責任がある。南さんは、そんな思いも聞かせてくれました。
ノートをつくる会社だからこそ、一冊のノートの役目が終わったその先まで見つめ、学びの循環を社会のなかに少しずつ広げているのだと感じます。そこには、資源を循環させるだけでなく、人と人、過去と未来をつないでいこうとする思いがあります。その姿勢に、〈コクヨ〉という企業の今のあり方が表れています。

南:私がこの取り組みに関わり始めたのは、2年くらい前です。社内で「参加したい人いますか」と、募集があったので手を挙げたのがきっかけでした。サステナブルという取り組み自体に興味があって。お子さんたちに面と向かってそういうことをお伝えできる機会は、会社員をしているとなかなかないので……。
社員が「やってみたい」と思ったことに、会社が手を挙げやすい場をつくる。まさに〈コクヨ〉らしさを感じる南さんのエピソード。今回が授業デビューとなった高橋さんは、終了後、このように話してくださいました。
高橋:夏休みの自由研究で環境について調べた経験があったので、そのテーマで小学生に授業をすることに、とても興味がありました。自分の興味のあることを学ぶ楽しさを知ってもらうきっかけになれたら、嬉しいです。

授業に参加した子どもたちの姿は、かつての高橋さん自身とも重なります。「つなげるーぱ!」に興味を持った子どものなかから、いつか次の高橋さんが生まれるのかもしれません。
環境について学んだ子どもが大人になり、今度は次の世代へ伝える側になる。南さんから高橋さんへ、そしてこの日の授業を聞いた子どもたちへ。「つなげるーぱ!」は、資源だけでなく、人と人、そして学びまでも循環させている。その姿こそ、この取り組みが生み出している、もうひとつのつながりなのかもしれません。
「つなげるーぱ!」がつなぐ、循環のバトン。

「つなげるーぱ!」が循環させていくのは、紙という資源だけではありません。使い終えたノートには、かつて誰かが書いた文字や、考えた時間、学んだ記憶が残っています。それがもう一度紙となり、新しいノートの一部として生まれ変わる。そこには、過去の自分や過去の誰かから、次の誰かへ手渡される小さなバトンのようなやさしさがあります。
そのバトンは、ノートから家庭へ、学校へ、地域へ、そしてその先へと渡っていく。誰かが書き終えた一冊が、次の誰かの好奇心の背中をそっと押してくれる。書き終えた一冊が、次の誰かの学びをひらく。「つなげるーぱ!」という取り組みには、そんな循環のやさしさが込められているのではないでしょうか。
ノートをつくる会社である〈コクヨ〉が、使い終えたノートのその先まで見つめ、子どもたちや地域と一緒に循環を育てていく。その姿勢は、これからの学びや暮らしに寄り添う文具メーカーのあり方を示しているようにも感じられました。
〈BUNGUU名取店〉〈仙台上杉店〉、そして〈カネイリ番町店〉〈下田店〉でも、使用済みノート回収ボックスを設置しています。ノートを買いに行くとき、使い終えたノートが手元にあれば、ぜひ一緒にお持ちください。
PLACE
コクヨ株式会社
大阪府大阪市北区大深町5番54号 グラングリーン大阪 パークタワー 14階
※一部の画像は、コクヨ公式サイト掲載のものを使用しています。