“捨てる”から“つなげる”へ。

カネイリ店舗にある回収BOX
〈金入〉の店舗に出現したこのボックスは……? 

〈金入〉が運営する、〈BUNGUU名取店〉〈仙台上杉店〉、そして〈カネイリ番町店〉〈下田店〉に設置されたこのボックスを、みなさんはもう見かけましたか? こちらは〈コクヨ株式会社〉が展開する、「つなげるーぱ!」の使用済みノート回収ボックスです。2026年3月時点で、全国の文具ストア25店舗に設置されています。

〈コクヨ〉と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは「キャンパスノート」かもしれません。けれど、〈コクヨ〉が手がけているのはノートだけではありません。現在は、文具にとどまらず、空間、家具、通販などの領域にも活動を広げています。人々の学びや働き方、暮らしのあり方に寄り添う「Life & Work Style Company」として、文具メーカーの枠を超えた取り組みを続けています。

子どものころ、筆者にとって〈コクヨ〉の「キャンパスノート」は、学校生活のそばにある身近な文具でした。教科ごとに表紙の色を分け、新しいノートを開くたびに、少しだけ背筋が伸びるような気持ちになったことを覚えています。大人になってからは、仕事のタスク管理や打ち合わせのメモに「測量野帳」を使うようになりました。学ぶときも、働くときも、気づけば手元には〈コクヨ〉製品を中心とした文具がありました。

使って終わりだと思っていたノート。最後のページまで書き終えた後、その先にはどんな行き先があるのでしょうか。

図書館に訪れた人がノートを入れる様子

その答えのひとつが、「つなげるーぱ!」です。2023年10月にスタートしたこの環境プログラムは、ノートを使う子どもたち、ノートをつくる〈コクヨ〉、そして資源再生に関わる人々が一緒になって、地球環境について考えるきっかけをつくりたいという思いから生まれました。使い終えたノートを自主的に回収し、再びノートの原料の一部として生まれ変わった製品を使ってもらう。そのプロセスを通じて、社会を循環型へと変えていくこと、そして持続可能な未来をともに考える体験を、子どもたちに提供しています。

使い終えたノートが、新しいノートに生まれ変わるまで。

店舗に設置している使用済みノート回収ボックスでは、メーカーを問わず使い終えた紙ノートを回収しています。ここで集められたノートはどうなるのでしょうか。

つなげるーぱの循環

使用済みノートは古紙回収センターで計量されます。次に製紙会社へと運ばれ、回収されたノートを溶解したあと、紙をすいて乾燥させる「抄造(しょうぞう)」という工程を経て、新たな紙へと生まれ変わるのです。最終的に〈コクヨノート工場〉にて、この再生された紙を材料の一部に採用した表紙と中身が製本され、再び新しい「キャンパスノート」として生まれ変わります。

製紙会社での抄造の様子。
製紙会社での抄造の様子。

「つなげるーぱ!」から生まれる再生紙の表紙は、色合いや風合いが一冊ごとにわずかに異なります。それは、リサイクルという工程を経たからこそ生まれる個性であり、手に取る楽しさのひとつにもなっています。

リサイクルされたノートの表面
均一に整えられた紙とはまた違う、その一冊だけの表情。

その表紙のデザインに用いられているのは、絶滅危惧種に指定されている動物たちです。地球環境保全の学びにつながることを意図しており、第3弾では表紙と裏表紙で異なるイラストを見比べることで、新たな発見や学びを得ることができます。

キャンパスノート<つなげるーぱ!>
「キャンパスノート<つなげるーぱ!>」第3弾の表紙は、コアラ、アオアシカツオドリ、オオアリクイ、オコジョの4柄です。

全国の小学生が年間に使う約4千万冊ものノートのうち、約4割が資源として再利用されずに焼却処分されているという現状があります。この課題に向き合うため、〈コクヨ〉とグループ会社の〈カウネット〉は、全国の小学校で使用済みノートの回収と出張授業を展開してきました。

コクヨ出張授業の様子
小学校での出張授業の様子。

出張授業で子どもたちに伝えているのは、「どうしてリサイクルをすることが大事なのか」「リサイクルをすると、どんな良いことにつながるのか」ということ。古いノートをただ集めるだけではなく、資源循環と地球環境保護の関係を学び、使い終えたノートが新しいノートへと生まれ変わっていく過程を知る。その体験を通して、子どもたちが「ものをどう選び、どう手放すか」を自分ごととして考える力を育むことを目指しています。

リサイクルについて
出張授業では資源循環と地球環境保護の関係を学びます。資源の取りすぎで地球を傷つけない事。そしてゴミを捨てて地球を傷つけない事。何度もリサイクルしたり、長く使うことが大切です。

そして、この取り組みには、単なる環境活動という枠を超えた面白さも。自分が集めてリサイクルしたノートが、巡り巡って製品として手元に戻ってくるというワクワク感。表紙にデザインされた絶滅危惧種の動物たちを集める、コレクションのような楽しさ。そして社会全体の循環の輪に自分も加わっているという、小さな達成感——「つなげるーぱ!」は、真面目な環境プログラムでありながら、どこかそんな”楽しさ”も一緒に運んでいるように思います。

初めての場所で、初めての一歩

2026年7月28日、宮城県名取市の〈名取市図書館〉で、『第11回 名取市図書館を使った調べる学習コンクール チャレンジ講座スペシャル編』として「つなげるーぱ!」の出張授業が行われました。これまで小学校を中心に開催されてきた出張授業が、図書館で行われるのは今回が初めてとのこと。

きっかけは、〈BUNGUU(運営:金入)〉で使用済みノートの回収ボックスを設置するにあたり、〈コクヨ〉との間で「出張授業も一緒に開催したい」という話が持ち上がったことでした。そこから〈未来屋書店〉、そして〈名取市図書館〉へと輪が広がり、4社が力を寄せ合うかたちで、この日の出張授業が実現しました。

名取市図書館外観
会場となった〈名取市図書館〉。〈未来屋書店〉と名取市が結ぶ「書店連携推進事業」の一環として会場に選ばれました。

出張授業を担当するのは、過去に2回、小学校での授業経験を持つ〈コクヨ〉の南愛さんと、今回が出張授業デビューとなる高橋瑞歩さん。高橋さんは緊張した面持ちで、開始直前まで予行練習を重ねていました。

会場となったのは、〈名取市図書館〉の「おはなしのへや」。木の床、木の壁、そして小さな椅子。学校の教室とはまったく違う、どこか秘密基地のような、それでいて家庭のリビングのようにも感じられる空間が広がっていました。床にはふわふわのマットも敷かれ、小学校の授業とは違って、子どもたちもリラックスした雰囲気で座っています。

会場となったおはなしのへや
木のぬくもりを感じる曲線の壁には、まるで船の窓のような丸いくり抜きがいくつも並び、その下にはずらりと絵本が飾られています。

授業には21名が参加。普段の出張授業では小学3年生〜5年生が中心ですが、この日は低学年の子どもたちの姿も。資源の循環や地球環境保護という難しいテーマを子どもたちにもわかりやすく理解してもらえるよう、授業はクイズや、キャラクターがリサイクルの現場を説明してくれる動画を交えながら進みます。特にクイズコーナーは大盛況で、子どもたちが張り切って手を挙げる姿が見られました。

コクヨ_高橋瑞歩さん
今回が出張授業デビューとなった高橋瑞歩さん。

高橋瑞歩さん(以下、高橋):リサイクルできるものとできないものがあることをすでに知っている子もいて、事前に学んでから来てくれたのかもしれません。始まる前はかなり緊張していましたが、子どもたちが授業前に動物のステッカーを喜んで見せに来てくれたり、持ってきたノートを見せてくれたりして、安心して話せそうだとほっとしました。

これまで学校の授業の一環として実施してきた出張授業。今回は自主的に参加を決めた子どもたちの「聞きたくて来ている」「話を聞くのが楽しい」という姿勢が印象的だったと、南さんは話します。

コクヨ_南愛さん
これまで小学校での出張授業をしてきた南愛さん。

なかには、「リサイクル」という言葉を今日初めて知ったという子も。「またノートを使い終わったらリサイクルをしたいと思った。友達にも教えてあげたい」と話してくれました。

授業終了後の販売会の様子
授業終了後の販売会の様子。

授業が終わった後は、「おはなしのへや」のすぐ横で「キャンパスノート<つなげるーぱ!>」の販売会も行われました。授業を聞いたばかりの子どもたちが次々と集まり、「つなげるーぱ!」への関心の高さがうかがえます。この日、特に人気だったのはオコジョのデザイン。興味を持った子どもたちの手に、さっそく新しいノートが渡っていく瞬間を見ることができました。

初めての図書館開催となった今回の出張授業。そこには、“親子で参加できること”や“地域の連携”という点でも、これまでの学校開催とはまた違った広がりがありました。

後編では、なぜ図書館で開催されたのか、その背景にあった連携、そして地域へ広がっていく循環のかたちを掘り下げていきます。

>>【後編】はこちら

コクヨ株式会社 さんの画像

PLACE

コクヨ株式会社

大阪府大阪市北区大深町5番54号 グラングリーン大阪 パークタワー 14階

コクヨ株式会社について詳しくはこちらから

※一部の画像は、コクヨ公式サイト掲載のものを使用しています。